吉野堂物語

サトウハチローさんとひよ子

昭和38年、当時、詩人で作詞家として活躍しておられたサトウハチローさん(故人)にひよ子のイメージソングの作詞をお願いしました。それが、ひよ子のオリジナルソング「ひよこのうた」です。

作詞作曲

ひよこが一羽、二羽、三羽
コック チック
ピック チョック
お散歩してる
フワフワ
できたてみたいだナ
かきねをくぐって
お顔をだした
コック チック
ピック チョック
チョン ピン チョン

レコード

この歌は株式会社ひよ子(当時)が、当時提供した天気予報(RKBテレビ)のバックミュージックとして、テレビを通じて親しまれ、またソノ・シートを製作して、幼稚園や保育園などにも配布し、子どもたちや先生方からたいへん喜ばれました。

サトウハチロー

サトウハチローさんのこと。
サトウハチローさんは昭和48年に70歳で亡くなられました。 生前には、歌謡曲から童謡、CMなど、多彩な分野の作詞で活躍され「ちいさい秋みつけた」、「りんごの唄」、「かわいいかくれんぼ」など、誰もが、一度は耳にし、多くの人々から愛された作品で知られています。作家の佐藤愛子さんは、妹さんにあたります。
「ぴよぴよもなか」の発売に際して、サトウハチローさんから、励ましの詩をいただきました。 もなかをひとつひとつ作りながら、この詩の心を大切にしていきたいと、飯塚総合工場の庭の碑に刻んで伝えています。

昭和42年には、仲良くつれだって歩く、二羽のひよこの形をした「ぴよぴよもなか」が誕生しました。もなかの発売を計画していた石坂博和(当時社長)は、ある日、数多く描かれたひよこのデザイン画の中から、二つに絞って眺めているうち、ふと、「この二つを一緒に並べたらおもしろいかもしれない。名前は、ひよこが二羽だから、ぴよ、ぴよ、がいいな…」と、ひらめいたのです。 こうして、茶と白、二羽のひよこの仲良しコンビ「ぴよぴよもなか」が誕生しました。現在、茶のもなか種には、北海道産のあずき餡、白のもなか種には、星野村(福岡県八女郡)産の抹茶餡を使用しています。

photo

ぴよぴよもなか 発売時のパッケージは著名な染色家・版画家であった岡村吉衛門氏(故人)に依頼。和紙の貼箱に大胆な版画の感覚がいかされたデザインが評判を呼びました。(このパッケージをはじめポスター・CMなど一連の作品は当時の福岡アートディレクターズクラブ賞の「グランプリ」を受賞、高い評価を受けました。)

単純な丸や四角ではなく、ひよこの形をした立体形、しかも、傷つきやすい種皮ですから、一個一個を大切に取り扱いながら、機械化できるのはごく一部。大半は、人手をかりて作られています。 それだけに、もなか特有の口当たりのやさしい風合いと餡のおいしさ、それに形のかわいさとユニークさが評判で、福岡だけでなく、東京でも人気を呼んでいます。 似たような形は、どこでもできるけれど、その心を真似することはできない。 目立たないけれど、作る人の「矜持(きょうじ)」をつたえる、「ぴよぴよもなか」です。

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